2017年07月26日
飛田の子供神輿
飛田で夏祭りがあり、その日だけは一般の人でも入れると聞いたのは、年末の餅つき大会に週一回来てくれるベテランおばちゃんが参加したと、毎日来てくれる素人おばちゃんが教えてくれたときだった。
「ベテランおばちゃん」「素人おばちゃん」とは、呼び込みの仕事を30年近くしているおばちゃんを「ベテラン」、たまたまママさんの知り合いに誘われて1年ぐらい前から飛田で働き始めたおばちゃんを「素人」と私が勝手に呼んでいタイトルだけで、「素人おばちゃん」は水商売歴が長く、自分でお店を経営していたこともあり、周りのお店の経営者や前のおばちゃんや女の子とのつきあいは「玄人」級にうまかった。
「餅つき大会」は街のどこかで行われるらしいが、「夏祭り」はお神輿が店の前を通るから楽しいとおばちゃんは言っていたが、餅つきや神輿かつぎに子供たちも参加するのがとても不思議な気がして、「あなたも子供を連れてきたらいい」というおばちゃんの言葉に素直にはうなずけなかった。
夏になる前に店を辞め、飛田の夏祭りのことは忘れていたが、偶然フォローしている飛田の関係者のツイートを見つけ、その日と翌日が夏祭りと気がついた。
それでも、本当に「部外者」が参加してもいいものかどうか悩んでいたが、引用ツイートすると好感触で、何時ごろに街を練り歩くか教えてくれた。
その日は仕事だが最近暇だし、仕事がなかったら行こうと思っていたが、案の定仕事がなく、少しうたた寝して目が覚めたのが1時半だったので飛田まで急いだ。
地下道を通って大きなショッピングモールの横に出て道路を渡り、再開発によって作られたが人気のない商店街(そこにあったスーパーは閉店していた)と昔からあるアーケード商店街を通り、横に曲がったら、そこが飛田だ。
入口で毎朝夕通るので、顔なじみになっていた組合の人と会ったので、神輿を見に来たと告げると、ちょうど休憩中だよと教えてくれ、奥のほうに歩いていく途中で、動き出した神輿が通りを横切っていくのが見えた。
神輿の上には数人の子供が乗っていて、回りを大人たちが取り囲み、そのあとを2、3人の「見学者」がついて歩いていた。
神輿が道の真ん中で止まっているので追い付くことができた。「○○さん」「○○さん」と神輿に乗っている子供がアナウンスしているので、営業中の店に座っている女の子の名前かと思ったが、それは店名で、料亭だけでなく、その通りにある一般の会社の名前も読み上げていた。
営業しているのは半数ぐらいであったが、夕方から開くお店も多いので、通常営業な気がした。
おばちゃんが祝儀袋を渡すお店もあったが、まだ営業していないお店は組合に直接渡すのだろうか?
神輿が来てもそのまま座っている女の子も立ち上がって隠れる女の子もいて、おそらく事前に店の人とどうするか話し合っていたのだろう。
「見学者」は30代ぐらいの男女が2人ずつ、男性のひとりがカメラを抱えて撮影していたので、私もスマートフォンで撮影した。
おばちゃんに聞いたところ、「店のなか(中にいる人)以外はいい」という人と、「撮影はダメ」という人がいたが、撮影を止める人はいなかった。
おばちゃんしか座ってないお店は女の子が隠れているのか、それとも客がついて上がっているのか?神輿の声を聞きながら二階にいるのはロマンチックな気がした。
神輿について歩いていたら、その先が以前勤めていた店があることに気がついた。
そのままついて行くか悩んだが、ママさんはほとんどお店に来なかったし、おばちゃんも一緒に座っていた女の子もその後辞めたと聞いていたし、もしかしたら、閉店してしまったかもしれないので、それを確かめるためにも行こうと思っていたら、看板に灯りが灯っていて、営業中であることが分かった。
そこにいるのは知らない女の子とおばちゃんでほっと胸をなでおろした。
店頭で座っていると向かいのお店の女の子がよく見え、ななめ向かいの女の子が清楚な感じですごく好きだった。
昼の時間に座っているのは、そのことボブヘアでキリリとした表情の女の子で、はにかんだ笑顔か自信に満ちた笑顔のどちらかを見られるのを楽しみにしていたが、そこに座っていたのに、そのどちらでもない少し派手めな女性でちょっと残念な気がした。
いや、その子のことより、隣に座っているのは、あの素人おばちゃんではないか!
以前より髪の色が赤く染め、唇も赤く派手な気がしたが、まさしくあのおばちゃんであった。
店を辞めてからは、飛田を離れていると思っていたが、すぐそばの店に「再就職」していたなんて。
人付き合いがよく、ママさんより周囲のお店の人とうまくやっていたおばちゃんなら、うちの店で働いて欲しいと声が掛かってもおかしくないだろう。
お愛想ではなく、心から楽しんで神輿とその一行に手を振るおばちゃんが懐かしく、想わず手を降り返したが、おばちゃんは表情を変えなかった。
その後、休憩を挟み、しばらくついてまわったが、大きな道路に出て、帰宅しなければならない時間になったので、駅に戻ることにした。
街はすっかり通常に戻り、数人の通行人に声を掛けるおばちゃんの声が聞こえ、じゃまをしないように歩いた。
神輿に乗っているのは近所の学校に通う子供たちで、子供たちが飛田の祭りに参加するのを認める親がいることが不思議ではあるが、「自分たちの住んでいる街のイベント」として、認識されているのかもしれない。
その反面、夜にしか来ない女の子にとってこのお祭りはまったく関係ないものなんだろう。
この街にとって女の子は欠かせない存在であるはずなのに、結局は単なる労働者であり、「部外者」のままでしかない。
いや、本人たちも、「住人」になりたいと思ってこの街に来て、座っているわけではないだろうが。
「ベテランおばちゃん」「素人おばちゃん」とは、呼び込みの仕事を30年近くしているおばちゃんを「ベテラン」、たまたまママさんの知り合いに誘われて1年ぐらい前から飛田で働き始めたおばちゃんを「素人」と私が勝手に呼んでいタイトルだけで、「素人おばちゃん」は水商売歴が長く、自分でお店を経営していたこともあり、周りのお店の経営者や前のおばちゃんや女の子とのつきあいは「玄人」級にうまかった。
「餅つき大会」は街のどこかで行われるらしいが、「夏祭り」はお神輿が店の前を通るから楽しいとおばちゃんは言っていたが、餅つきや神輿かつぎに子供たちも参加するのがとても不思議な気がして、「あなたも子供を連れてきたらいい」というおばちゃんの言葉に素直にはうなずけなかった。
夏になる前に店を辞め、飛田の夏祭りのことは忘れていたが、偶然フォローしている飛田の関係者のツイートを見つけ、その日と翌日が夏祭りと気がついた。
それでも、本当に「部外者」が参加してもいいものかどうか悩んでいたが、引用ツイートすると好感触で、何時ごろに街を練り歩くか教えてくれた。
その日は仕事だが最近暇だし、仕事がなかったら行こうと思っていたが、案の定仕事がなく、少しうたた寝して目が覚めたのが1時半だったので飛田まで急いだ。
地下道を通って大きなショッピングモールの横に出て道路を渡り、再開発によって作られたが人気のない商店街(そこにあったスーパーは閉店していた)と昔からあるアーケード商店街を通り、横に曲がったら、そこが飛田だ。
入口で毎朝夕通るので、顔なじみになっていた組合の人と会ったので、神輿を見に来たと告げると、ちょうど休憩中だよと教えてくれ、奥のほうに歩いていく途中で、動き出した神輿が通りを横切っていくのが見えた。
神輿の上には数人の子供が乗っていて、回りを大人たちが取り囲み、そのあとを2、3人の「見学者」がついて歩いていた。
神輿が道の真ん中で止まっているので追い付くことができた。「○○さん」「○○さん」と神輿に乗っている子供がアナウンスしているので、営業中の店に座っている女の子の名前かと思ったが、それは店名で、料亭だけでなく、その通りにある一般の会社の名前も読み上げていた。
営業しているのは半数ぐらいであったが、夕方から開くお店も多いので、通常営業な気がした。
おばちゃんが祝儀袋を渡すお店もあったが、まだ営業していないお店は組合に直接渡すのだろうか?
神輿が来てもそのまま座っている女の子も立ち上がって隠れる女の子もいて、おそらく事前に店の人とどうするか話し合っていたのだろう。
「見学者」は30代ぐらいの男女が2人ずつ、男性のひとりがカメラを抱えて撮影していたので、私もスマートフォンで撮影した。
おばちゃんに聞いたところ、「店のなか(中にいる人)以外はいい」という人と、「撮影はダメ」という人がいたが、撮影を止める人はいなかった。
おばちゃんしか座ってないお店は女の子が隠れているのか、それとも客がついて上がっているのか?神輿の声を聞きながら二階にいるのはロマンチックな気がした。
神輿について歩いていたら、その先が以前勤めていた店があることに気がついた。
そのままついて行くか悩んだが、ママさんはほとんどお店に来なかったし、おばちゃんも一緒に座っていた女の子もその後辞めたと聞いていたし、もしかしたら、閉店してしまったかもしれないので、それを確かめるためにも行こうと思っていたら、看板に灯りが灯っていて、営業中であることが分かった。
そこにいるのは知らない女の子とおばちゃんでほっと胸をなでおろした。
店頭で座っていると向かいのお店の女の子がよく見え、ななめ向かいの女の子が清楚な感じですごく好きだった。
昼の時間に座っているのは、そのことボブヘアでキリリとした表情の女の子で、はにかんだ笑顔か自信に満ちた笑顔のどちらかを見られるのを楽しみにしていたが、そこに座っていたのに、そのどちらでもない少し派手めな女性でちょっと残念な気がした。
いや、その子のことより、隣に座っているのは、あの素人おばちゃんではないか!
以前より髪の色が赤く染め、唇も赤く派手な気がしたが、まさしくあのおばちゃんであった。
店を辞めてからは、飛田を離れていると思っていたが、すぐそばの店に「再就職」していたなんて。
人付き合いがよく、ママさんより周囲のお店の人とうまくやっていたおばちゃんなら、うちの店で働いて欲しいと声が掛かってもおかしくないだろう。
お愛想ではなく、心から楽しんで神輿とその一行に手を振るおばちゃんが懐かしく、想わず手を降り返したが、おばちゃんは表情を変えなかった。
その後、休憩を挟み、しばらくついてまわったが、大きな道路に出て、帰宅しなければならない時間になったので、駅に戻ることにした。
街はすっかり通常に戻り、数人の通行人に声を掛けるおばちゃんの声が聞こえ、じゃまをしないように歩いた。
神輿に乗っているのは近所の学校に通う子供たちで、子供たちが飛田の祭りに参加するのを認める親がいることが不思議ではあるが、「自分たちの住んでいる街のイベント」として、認識されているのかもしれない。
その反面、夜にしか来ない女の子にとってこのお祭りはまったく関係ないものなんだろう。
この街にとって女の子は欠かせない存在であるはずなのに、結局は単なる労働者であり、「部外者」のままでしかない。
いや、本人たちも、「住人」になりたいと思ってこの街に来て、座っているわけではないだろうが。
femmefatalite at 06:05│Comments(0)│街のこと
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